2018/11/23 12:45



長くファッション写真界で活躍されている写真家宮角孝雄さんのライフワークである「ヒロシマ・ナガサキの祈り」。
その結晶とも言える写真集です。

様々な被写体の「平和」へのイメージを丹念に汲み取り定着させる営々たる作業。
これまで沈黙していた被爆者の方々も含めて、ここに立ち上がってきた想念は静かに「かそけき愛」を訴えてくる…

〈レビュー〉 心に響く表情の奥の願い 平和をイメージするとき、人はどんな表情をしているのだろう。 穏やかに瞑目(めいもく)する人、にこやかな笑みを浮かべる人。ここに収められている人々の姿は、どれも神聖な光をまとうかのように神々しい。 長崎の平和祈念像や原爆落下中心地碑前、広島の原爆ドーム前で、被爆者や平和を願う人々の肖像を撮影した写真集。 著者は広島県出身。原爆が投下された時にはまだ生まれていなかったが、祖父と父は広島駅で被爆。幸い2人とも命は取り留めたが、重傷を負った父は後年まで、心と体に受けた傷に苦しめられ続けたという。 ページを繰るたび、爆心地で撮影された一人一人の表情の奥にある共通の願いが、心に響いてくる。                                           「長崎新聞」2010.08.08 読書欄